upsilon’s blog

備忘録なので内容は限りなく薄いです。

トナー転写による試作基板の製作(CNC以前)

最近ようやくCNCで基板製作できるようになったのですが、それ以前はどうやって基板を作成していたかというとレーザープリンターを使用したトナー転写エッチングです。

ちょっと前まで流行っていた手法で、色々とコツが要るのですが、慣れるとそこそこ綺麗な基板ができるようになります。

流れとしては、基板パターンをレーザープリンターで専用の紙に出力 → 紙を基板に押し当ててアイロン等を当て、トナーを基板に転写する → トナー補強材(TRF)をアイロンで押し当ててトナーと一体化させる → トナーパターンの欠陥部分をレジストペンで修正・補強する → エッチング → トナー補強材(TRF)の除去、洗浄 → 穴あけ → 完成、 となります。

ネット上ではアイロンを当ててトナー転写する作例が多く公開されているのですが、私はラミネーターを使用していました。

転写紙

最初のパターン印刷に使用する紙ですが、この手法が最初に開発された当初はぶどう紙(富士フィルムのマット仕上げインクジェット用紙、パッケージにぶどうの写真がプリントされている)というのがもてはやされましたが、タックシールなどの台紙として使われる剥離紙に印刷する手法が開発されて廃れました。

トナー補強材

また、上に挙げた「トナー補強材(TRF)」ですが、以前はPress-n-Peel Blue PCB Transfer Filmという補強材が流行っていたのですが、値段がかなり高かったので試していません。Press-n-Peelに似た補強材として、GreenTRFというのがそこそこの値段でDigiKeyから入手できたので、輸入して試してみました。これらの補強材はトナー転写された基板の上から押し当てて加熱すると、トナーと結合して一体化します。トナーがないトコロには結合せず台紙に残ります。これだと単にトナーで作ったパターンをなぞるだけなので何が良いのかよく分からないと思いますが、TRFを付けずにエッチングを行った場合、トナーにムラや細かい欠陥があるためトナーが付着した場所でも腐食が進んでしまい、パターンが穴だらけの基板が出来上がってしまいます。TRFをつけることによってトナーパターンにある細かい欠陥が塞がるので、くっきりはっきりとしたパターンをエッチングすることができます。最初にTRFを使ったエッチングをした時に、このクッキリさ加減に感動した覚えがあります。

TRFの欠点はトナーとしっかり結合するので剥がしにくい所です。エッチング終了後にTRFをトナーと一緒に剥がしますが、TRFが結構厚いので紙ヤスリ等で削るのはけっこう大変です。私はスクイーザーで削りとってましたが、これもなかなか大変でした。

穴あけ

この手法ではエッチングをしただけでは基板完成にはなりません。最後に穴あけをする必要があります。これがまた地味に面倒です。穴あけには穴あけ用の、ペンのように持てるタイプの電動ドリルが便利です。穴の径0.6mm程度ならあまりパワーのないドリルでも開けられます。私はaitendoで売っていたドリル、サンハヤトのドリル、プロクソンのドリル等を使って穴あけしていました。

現在

CNCを導入したので、よっぽど高精細なパターンが必要にならない限り、今後この手法で基板を作ることはないと思います。エッチング液、TRF、転写紙、ラミネーター、インクジェット用紙は用済みになりました。たくさん買ったのにどうしよう…

 

参考

トナー転写方式の歴史が分かるページ

Press-n-Peel Blue PCB Transfer Film‚ðŽg‚¢“|‚·”‚Q